ご挨拶(学会の一般社団法人化について)

名誉会長  髙辻 正基

このたび(2014年4月)文理シナジー学会は一般社団法人として再スタートを切ることになりました。学会が産声をあげたのが1996年秋で、1999年秋には日本学術会議協力学術研究団体として登録されて正式な学会になりました。考えてみるとこの18年よく続いたものです。それでも会員数はだいたい100名程度を保ち、春秋の発表会は懇親会を含めて‘常連さん’を中心に楽しい集いになっています。毎回わずか十数件の発表にもかかわらず、その内容は人文科学、社会科学、自然科学と多岐にわたり、正直いってはなはだまとまりがありません。

過去には何とか方向付けをしようという無駄な努力もしましたが、全く効果がありませんでした。いわば当り前の話で、各発表者の関心がばらばらだからです。私見では、この学会の‘良さ’はまさにそこにあると考えるようになりました。学会参加者の皆さまも、それぞれに楽しく学んでおられるように見受けられ、その意味で安心しています。

それではなぜ一般社団法人化したかというと、世の中の流れだからです。2008年に公益法人制度改革法が施行され、学会の一般社団・財団法人化の動きが加速されました。私もそのころ本学会の関係で日本学術会議に赴き、説明を聞いたものです。学会の事務局を置いている(一財)社会開発研究センターも、昨年度から公益ではなく一般財団法人に衣替えをしました。

実は私自身が学会法人化の意義がピンとこず、何年も躊躇していましたが結局、社団法人化による財務の透明化、社会的信用の向上、法律行為への対応などのために必要だと決断したわけです。しかし学会の運営自体が変わるわけではなく、本質的には今までどおりです。ただ理事の責任がより重くなります。

一方、この学会の将来の発展を考えると、ただ各自が漫然と楽しむだけではまずいでしょう。発表や投稿論文を見渡すと、もちろん私自身のものも含めての話ですが、「文理シナジー」になっていないものが少なくありません。純粋の文系、純粋の理系の発表を拒否するつもりは毛頭ありませんが、その場合の必要条件として(以下は発表一般に当てはまることですが)まず誰にもよくわかること(筋が通っているという意味で)、次に一般性がある、非常に面白い、あるいは学問的に深い、のいずれかを満たしていただきたいと考えています。この学会特有の査読の難しさを考慮すると、「いい発表や論文」イコール上記のことだと私は信じて疑いません。ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

一般社団法人文理シナジー学会
理事長  髙辻 正基